毎月編集者のジャンル問わずにおススメな腕時計を5本選出。
最初の一本にも追加で買う一本にも最適な、初心者からマニアに幅広く刺さる選出。
特に使いやすさやブランドの背景に視点を置いておススメをピックアップしてみた。
[1] TAG HEUER(タグ・ホイヤー)アクアレーサー プロフェッショナル300 GMT
TAG HEUER アクアレーサー プロフェッショナル300 GMT スペック
SKU:WBP5114.BA0013 コレクション:アクアレーサー キャリバー:TH31-03 COSC ムーヴメント:自動巻 ケースサイズ:42㎜ 厚さ:13.1㎜ ダイヤルカラー:ブルー ケース素材:ステンレススチール(サテン/ポリッシュ仕上げ) ベルト幅:21㎜ 防水性:300m ベルト:ステンレススチール 価格:588,500
1本目はTAG HEUERのアクアレーサーの2024年の新作から。
ダイバーズウォッチで有名なアクアレーサーにGMT機能が搭載されたハイスペックモデルとなっている。
TAG HEUERは1860年にエドワード・ホイヤーによってスタートしたスイスの老舗腕時計メーカーである。
スタートから9年、鍵を使わないリューズによる巻き上げ機構で特許を取得。
1887年にはクロノグラフを誕生させ、「振動ピニオン」を改良する特許を取得する。
これはプッシュボタンを使用して瞬時にクロノグラフのスタート及びストップを可能にした。
その後マイクログラフやマイクロスプリットの高精度のストップウォッチの需要に応え、TAG HEUERはクロノグラフのパイオニア的存在となった。
因みにTAG HEUERの初のクロノグラフは今でも人気の高い「オータヴィア」である。
そして1969年TAG HEUERの「オータヴィア」、「ホイヤーカレラ」、「モナコ」から世界初の自動巻きクロノグラフ(キャリバー11)が発表された。
1999年にはLVMHの傘下となり、現在もなおLVMHの傘下として腕時計を生み出している。
そして今回紹介するモデルはアクアレーサーのプロフェッショナル300GMT。
大海原をイメージした文字盤が特徴的なモデル。
ディープブルーのサンレイ加工サテン仕上げの立体的で重厚感のある文字盤だ。
そこにライトブルーのGMT針が配されており、スポーティーなワンポイントがとてもかっこいい。
24時間スケールのブラックとブルーで構成されたセラミック製のベゼルは人間工学に基づいた設計となっており、指先で感覚的に回転させることができる。
GMTウォッチの一面もあれば、アクアレーサーの真骨頂であるダイバーズウォッチの一面もしっかりとある。
ねじ込み式リューズと300M防水を備え、インデックスには夜光を搭載しており耐水性と視認性の問題もしっかりとクリア。
ムーブメントは約80時間パワーリザーブを誇るCOSC認定キャリバーTH31-03を搭載。TAG HEUERが誇るGMTクロノメーターのハイスペックムーブメントで使い勝手もバッチリ。
防水性、日付表示、GMT機能、80時間パワーリザーブで日常使いに嬉しいポイントが満載。
ケースサイズは42㎜と大きすぎず、カラーも深いブルーで悪目立ちしない。
オフシーンからビジネスシーンまで好印象で着用できるだろう。
[2] MIDO(ミドー)Multifort TV Big Date
MIDO Multifort TV Big Date スペック
SKU:M049.526.37.291.00 コレクション:Multifort キャリバー:CALIBER 80 ムーヴメント:自動巻
ケースサイズ:40㎜ 厚さ:11.5㎜ ダイヤルカラー:ブラウン ケース素材:ステンレススチール(PVDコーティング) 風防:サファイアクリスタル(両面反射防止加工) ベルト幅:22㎜ 防水性:10気圧防水 ベルト:ラバー 価格:CHF 1,170.00(日本円で201,000円程)
2本目に紹介する腕時計はMIDOのマルチフォートから。
マルチフォートには数多くの高性能腕時計が存在し、このモデルはTV型のケースで一躍話題となったモデルだ。
MIDOは1918年にMIDO G. Schaeren & Co.としてジョルジュ・シャーレン氏によって誕生したスイスの腕時計メーカーである。
ブランド名はスペイン語の「Yo mido」(私は測る)から由来している。
1920年、ブガッティやフィアット等の自動車メーカーのラジエーターグリルの形をした腕時計を製造し、自動車ファンからのファンを多く獲得した。
1930年にMIDOのコルク クラウン シーリング システム (後に「アクアデュラ」として知られる)の発明は防水時計の常識に風を吹かす先駆者となった。
これはパッキン部分をコルク製にすることで気密性、防水性を底上げするというものだ。
後にこのアイデアはラバー製のパッキンに変更され、ねじ込み式時計の標準となった。
1934年には名作マルチフォートが発売され、自動巻き機構と防水性、耐磁性、耐衝撃性を兼ね備えた革新的腕時計としてベストセラーとなった。
2016年には高級時計製造にのみ使用されていたシリコン製のヒゲゼンマイを搭載したクロノメーター認定のムーブメントを発表し、現在でもMIDOの機械式自動巻き時計への熱意が冷めることはない。
現代におけるマルチフォートのあり方を体現したMultifort TV Big Dateを紹介。
水平ブラシ仕上げによるブラウンのグラデーションが綺麗な文字盤と、それを包み込むローズゴールドのケースが高級感を演出し華やかな印象のスポーツウォッチ。
TV型のケースはラグジュアリースポーツを感じさせ、ビッグデイト表示と文字盤のグラデーションがレトロ感を掻き立てている。
40mmケースで腕にしっかりと収まり、人肌の色との相性も抜群だ。
裏蓋からはMIDOが誇る革新的なキャリバー80が一望できる。
ETAベースの80時間パワーリザーブを搭載したムーブメントで衝撃と磁場に対する優れた耐性を備えたNivachron™のハイテク バランス スプリングが装備されている。
現代におけるダイナミックで繊細なデザイン性と耐久性、利便性を兼ね備えたMIDOがマルチフォートとして現在出すべき、歴史の詰まった力作である。
[3] IWC(アイ・ダブリュー・シー) インヂュニア・オートマチック40
SKU:IW328901 コレクション:インヂュニア キャリバー:32111 キャリバー ムーヴメント:自動巻
ケースサイズ:40㎜ 厚さ:10.7㎜ ダイヤルカラー:ブラック ケース素材:ステンレススチール 風防:ドーム型サファイアクリスタル(両面反射防止加工) 防水性:10気圧防水 ベルト:ステンレススチール 価格:1,776,500円
3本目はIWCの耐磁性に定評のあるモデルインヂュニアから。
IWCは1868年にボストン出身の時計師、フロレンタイン・アリオスト・ジョーンズによって創立されたスイスの老舗腕時計メーカーである。
初期はデジタル表示式「パルウェーバー」システムを搭載したポケットウォッチと、男性向け、女性向けの腕時計を製造していた。
1936年今なお世界中で人気を誇る「パイロット・ウォッチ」コレクションの先駆けである「スペシャル・パイロット・ウォッチ」が発表された。
1946年にはアルバート・ペラトン設計による名作「キャリバー89」が登場する。
4年後の1950年にはアルバート・ペラトンによるIWC初の自動巻き機構搭載のムーブメント「キャリバー85」が爆誕。
このムーブメントは従来の切り替えギアに代わる画期的な爪レバー式自動巻き機構であり、IWCの独自開発として特許を取得した。
その後数多くの名作ムーヴメントや名作コレクション、複雑機構を搭載したムーブメント等を生み出し続け、世界的な腕時計メーカーとなった。
インヂュニアは1989年に耐磁性370万A/mを実現し、当時の世界記録となっていた。
2005年に復活後今もなおIWCの人気コレクションとして名を連ねている。
5本の多角形ビスでケーシングリングに固定された、特徴的なラウンド型のベゼルはインヂュニアを象徴するアイコニックなデザイン性である。
その顔つきはエレガンスとスポーティーを兼ね備えている。
インナーケースは耐磁性軟鉄製でインヂュニアの伝統を感じさせる。
シンプルなインデックスと針に配された夜光が視認性を完備。
文字盤は短い線が90度の角度で互いに組み合わされた独特なグリッド構造が特徴的で奥深い風合い。
人間工学に基づいて作られたボディは快適な装着感を実現。
ムーブメントはIWCが誇る自社製ムーブメント32111キャリバーを搭載し、パワーリザーブは驚異の120時間。
耐久性や着用感、日付表示や120時間のパワーリザーブで日常に寄り添う相棒ウォッチになること間違いなしだ。
[4] STOWA(ストーヴァ)Flieger Classic Chrono
コレクション:Chronographs キャリバー:Sellita SW 510 ムーヴメント:自動巻 ケースサイズ:41.0㎜ 厚さ:14.7㎜ ダイヤルカラー:ブラック ケース素材:ステンレススチール 風防:サファイアクリスタル ベルト幅:22㎜ 防水性:5気圧防水 価格:2.092,44 €(日本円で340,000円程)
4本目に紹介する腕時計はSTOWAフリーガーから。
パイロットウォッチやバウハウスウォッチで知られるSTOWAの定番商品である。
STOWAは1927年にWalter Storzによって設立されたドイツの腕時計メーカー。
ブランド名は創設者の名前(STOrz、WAlter)の頭文字で構成されている。
当初からバウハウススタイルの腕時計づくりに力を入れており、今でもそのデザイン性が引き継がれてブランドの顔となっている。
1940年にはSTOWAとして初のパイロットウォッチが開発され、初期のデザイン性は今でも受け継がれている。
STOWAのシンプルでクラシックなフェイスデザインと、高い精度のバランスが当時から評価されていた。
第二次世界大戦ではドイツ軍にナビゲーションウォッチの納入を認められた数少ない腕時計メーカーとしても知られている。
STOWAのクラシックな自動巻きクロノグラフはいくつもの賞を取っており、世界でもそのマニアはたくさん存在する。
他にもダイバーズウォッチの製造にも力を入れ、いずれも賞を獲得している。
そんなSTOWAからFlieger Classic Chronoを紹介。
パイロットウォッチとしての拘りを詰め込んだSTOWAの力作。
文字盤にSTOWAのブランドロゴを入れないデザインはパイロットウォッチとしてのプライドを感じる。
ブルースチール針、インデックスの夜光、0時位置の三角形はパイロットウォッチの典型例であり、お手本のようなデザインである。
固定式のスモールセコンドを意図的に省いたスタイリッシュなデザインとパイロットウォッチとしてのデザイン、機械やケースの性能面等が評価され、2012年に「ゴールデン バランス ホイール」を受賞したモデルでもある。
セリタ製の高級ムーブメントをベースに作られたSW510を搭載。
裏蓋からはそのムーブメントを一望できる仕様。
ヴィンテージライクな風合いが特徴のオリジナルストラップがパイロットウォッチとしての完成度を高めてくれる。
41㎜と大きすぎず、5気圧防水を完備しており日常使いに嬉しい仕様に。
インデックスのデザイン性や裏蓋から見えるムーブメント等、細かな仕掛けが男心を擽る1本である。
[5] RAYMOND WEIL(レイモンド・ウェイル)MILLESIME
RAYMOND WEIL MILLESIME
SKU:2930-STC-65001 コレクション:MILLESIME キャリバー:RW4251 ムーヴメント:自動巻
ケースサイズ:39.5㎜ 厚さ:10.25㎜ ダイヤルカラー:シルバー ケース素材:ステンレススチール 風防:サファイアクリスタル 防水性:5気圧防水 ベルト:カーフ 価格:341,000円
最後に紹介する腕時計はRAYMOND WEILから。
RAYMOND WEILは1976年にレイモンド・ウェイルによって設立されたスイスの腕時計メーカーである。
1960年にクォーツショックが起こり、RAYMOND WEILの立ち上げはその影響を受けている真っ最中である。
その中でRAYMOND WEILはスイス時計のあり方を1から考え、決して利益を優先せずにモノづくりへと励んだのだ。
クォーツショックで不況を迎えたサプライヤーと手を組み、伝統的な機械式時計産業を守るという信念を貫いたのだ。
RAYMOND WEILのコンセプトには「ミュージック&アート」からのインスピレーションがある。
腕時計の拘り抜いた細かなパーツを組み上げることはクラシック音楽の一音一音の組み合わせにリンクする。
また、ビートルズをはじめ、AC/DCやボブ・マーリーなど数多くのトップアーティストとのコラボレーションモデルにも、音楽への熱いリスペクトがうかがえる。
RAYMOND WEILの確固たる拘りと信念によって急成長を果たしたのだ。
1990年代初頭に、複雑機構・高級素材・精巧な仕上げ・革新的なデザインを融合した「パルシファル」コレクションを発表し、ブランドとしての進歩をスイス高級時計産業へとアピールを果たした。
その後、高品質のカーボンファイバー素材を採用したハイテクノロジーなコレクション「ナブッコ」やテンプの動きが見える時計「フリーランサー」等、ブランドとしての挑戦的なコレクションを次々とローンチ。
そして今回紹介する記憶に新しい「GPHG2023チャレンジウォッチ賞」を受賞した「ミレジム」の誕生。
伝統継承と技術革新を融合させた「ネオ・ヴィンテージウォッチ」として、世界中から注目を浴びている一本。
39.5㎜の40㎜を下回るちょうどよく小ぶりなケースサイズにレトロな風合いのカーフレザーストラップ。
文字盤は1930年代に少しの期間で製造された、時・分・秒のメモリが異なるトラックに表示する大胆な構成にインスピレーションを受けたデザイン。
当時のプラスチック風防を彷彿とさせる、円柱型の箱をかぶせたようなデザインを硬度の高いサファイアガラスでアレンジ。
長めのケースラグにヴィンテージライクなさらさらとしたカーフレザーストラップを装着し、当時のクラシカルな印象を強めている。
シャープでクラシカルな印象でありながら5気圧防水を完備し、サファイアガラスの風防や39.5㎜のちょうどよいサイズ感は日常使いに最適な仕上がりとなっている。
まとめ
今月編集者の私が気になった腕時計をピックアップして、どれも魅力を再確認した。
ブランド個々の強みや個性を様々な角度で感じることができ、価格もそれぞれ違う。
ブランドの背景や技術、提供する快適性を見ると価格はそこまで気にならない。
自分の心が揺れ動いた腕時計と出会えた時、嬉しい気持ちになる。
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